私はケチである

ケチ子おばさんの雑談・独り言(^^)

一直線に伸びる線路の価値 リニア新幹線は、次世代に残せる財産になるれのか

 

先日、山梨県にドライブに行ってきました。

その日の帰り道、Googleナビを使って帰ろうと走っていると、リニア新幹線の展望台の近くを通ったので寄り道しました。

自然が好きですが、自然の中に共存する大きな人工建造物も大好きです。ダムとか橋とか高速道路とか。そして、乗り物も好きです。車はもちろん、飛行機や新幹線、リニア新幹線にも是非乗ってみたいと思っています。しかし、東京から名古屋に行く予定は無いので、わざわざリニア新幹線に乗りに行くという事になりそうです…。

リ二アの見る丘 八代ふるさと公園

〒406-0834 山梨県笛吹市八代町

 

山から突き出て一直線に伸びるリニア新幹線の線路は大迫力です。

リニア新幹線は、大部分が山の中や地下のトンネルを走ります。地上に出ている部分は音の対策で防音フードがされている場所が多いのですが、山梨県笛吹市内に2か所フードが無い区間があり、無料で自由に見学ができます。リニア新幹線が開通すると、時速500㎞の速度で走り抜けるその姿を、この場所から是非とも見たいと思っています。

きっと、写真の区間なんて一瞬で走り抜けてしまうのでしょう。

 

リニア新幹線の事業は、JR東海が工事を進めており、2027年には東京ー名古屋間で開通される予定です。しかし、リニア新幹線の工事では、静岡県の問題があります。

東京から出発して名古屋に向かうリニア新幹線の工事は、途中にある山々をトンネル抜けていくので、当然、区間となる南アルプスにもトンネルが作られます。ちょうどその区間静岡県内の大井川の上流部分を通過する計画です。

 

南アルプスにトンネルを作ることで、破砕帯、静岡-糸魚川構造線という断層を通過します。

破砕帯と言えば、黒部ダムの工事の際に造られた関電トンネルが舞台となり映画化された、石原裕次郎主演の黒部の太陽を思い浮かべます。トンネル工事現場で大量の水は吹き出すそのシーン、北アルプスの雪解け水の冷たさを考えると、工事の大変さは想像を絶するものであったと思わざるを得ません。

南アルプスの工事では、大井川に流れるはずの水が山梨県側に流れ出てしまう事を静岡県が懸念されています。この件に関してはずいぶん前よりJR東海静岡県知事が話し合いを続けてられていますが、なかなか、話が進展していない様子なのが気になります。

確かに。水問題となると、人類は過去に何度も争いしている重要な問題です。3000m級の南アルプスを水源とする大井川水系は、流れる水を利用して何か所もの水力発電を行い、下流は名産の静岡茶の産地という事もあるので、実態を正しく理解して、きちんと問題を整理して何とか解決法を編み出していけると良いなと思っています。話し合いは難航しているようですが…。

 

リニア新幹線を作るに際しては、静岡県を迂回して長野県を通るルートも考えられたこともあるようですが、迂回するのであればリニア新幹線自体の存在価値が大きく低下します。

リニア新幹線は、直線を一気に走り抜けることに価値があります。

 

日本鉄道の大動脈の1つである東海道新幹線は、高度経済成長期である1964年(58年前)に開通しました。文字通り、東海道を走るので山間部が少ない海沿いを走っています。当時の最高技術を用いて造られた東海道新幹線なのですが、地形が大きく影響したのかカーブが多く、車体が揺れる特徴があります。JR東海は何度も車両を新しく開発し、走行速度の上限を上げるとともに、乗り心地の快適さを追求してきました。

新幹線の車体は、0系が最初に造られ、100系300系500系JR西日本)、700系、N700系と、新しい車両が次々に導入されてきました。

はるか昔の中学校の修学旅行で100系に乗ったこと、働き始めてからは東京に遊びに来るのに真新しい300系に乗れてうれしかった事、幼かった子供たちを連れて帰省するのに、わざわざ500系を選んで車両の1両目(自由席)に乗ったこと、700系、N700系では乗り心地の良さを実感したこと。新幹線の車両にはたくさんの思い出があります。

そして、高速で走る車体に空気抵抗を考えられて作られているデザインはとてもきれいでかっこよく、いつまで見ていても飽きない美しさがあります。

次々と新しい新幹線が導入され、快適さもどんどん良くなりました。音は静かになり、車体も揺れも穏やかになりました。勿論、新幹線は振り子方式ではありませんが、カーブを曲がっている時には車両の両側にある荷物置き場を観ると車体を傾けて通過しているのは良く解りました。

東海道新幹線は当時の最新の技術を用いて作られ、車両の改良を重ね快適な新幹線を生み出してきましたが、最大の弱点は線路にカーブがある事でした。

 

次世代の乗り物として造られてるリニア新幹線は、新幹線の最大の弱点を改善して作る必要があります。

リニア新幹線は、南アルプスを突き抜けることで、直線の線路を作る事が大きな価値であり、後世に残せる財産となります。

いま、妥協して静岡を迂回し、カーブがある線路を作るのであれば、後世には負の遺産でしかなく、巨額を投じて作る価値はありません。

 

鉄道は移動手段です。移動手段には速さを求められます。そして、その速さを妨げるのはカーブです。なので、一直線に走り抜けることで、速さと言う大きな価値を持たせることです。だから、南アルプストンネルは重要なのです。

 

日本のトンネルに関する技術は世界に誇れるものです。

3000m級の山々が連なる南アルプスにトンネを通すのは、トンネルの技術の最高峰ともいえます。

世界で一番長いとされている鉄道トンネルはスイスにあるゴッタルドベーストンネル(約57㎞)であり、アルプス山脈の東のゴッタルド峠(標高2108m)に造られました。

日本では、群馬県新潟県の境にある谷川岳(標高1977m)を抜ける関越トンネルが、道路用の山岳トンネルのしては最長(約11㎞)です。同じ場所を通り抜ける鉄道トンネルは、三本の清水トンネルがあり、上越新幹線が走る大清水トンネルが最長で22.221kmもあります。

南アルプスは標高3000mの山々が連なっています。日本で2番目に高い北岳(3193m)3位の間ノ岳(3190m)よりは南側を通りそうですが、それでも標高2500m以上の場所になるのではないでしょうか。とても大変ですが、確かな技術で一大事業を成し遂げて頂きたいです。

 

しかし、山にトンネルを掘ると水問題は必ずあります。

山は天然の大きなダムの役割があり、雨として降りいだ水は山に浸み込んでダムのように蓄え少しずつ沢から川に流れていきます。こうして、人間の生活を水災害より守ってくれています。

南アルプスのトンネル問題では自然環境破壊も取り上げられています。勿論、自然を破壊すれば、人間は大きな自然災害に見舞われてしまいます。なので、これからの技術は自然と共存できる開発が求められるのです。その面においても、日本の技術は素晴らしいと言われるような技術を駆使してほしいです。

そんな昔にこれ作っていたの?すごいじゃん!

自分の子どもや孫、子孫たちが、そんな言葉を自然に口にしているようなトンネルを作ってもらいたいです。

 

日本は小さな島国ですが、とても豊かな自然に恵まれています。

その自然と共存できる未来の日本の姿を見つめ、それに向かい技術は向上していけると良いなと思っています。

南アルプス 甲斐駒ヶ岳山頂